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昭和の良き趣味、BCLとそのブーム:短波ラジオひとつで広がる世界

2024年1月4日

短波ラジオを中心に、国際放送を受信するシーンを描いています

短波ラジオを使ったBCL(放送局受信趣味)とは?

短波ラジオとその趣味のグローバルな側面を表現

BCLとは?

BCL(放送局受信趣味)とは、「Broadcast Listening」の略で、主に短波ラジオを使って国内外の放送局を受信する趣味を指します。

この趣味は、さまざまな国や地域のラジオ放送を聴くことで、言語や文化、ニュースなどの情報に触れることができる魅力があります。

短波ラジオとは?

短波ラジオは、3MHzから30MHzの周波数帯を使用するラジオのことを指します。

短波は長距離に渡って伝わりやすい特性を持っており、地球の反対側にある放送局の信号を受信することが可能です。

BCLの魅力

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BCLの魅力は以下の3つです

多様な文化に触れる

世界中のさまざまな情報に触れることができます。日本語以外の番組も聴取できるため、世界中の様々な文化や音楽に触れることができます。

情報収集

短波ラジオは、到達距離が長いため、地上波放送が受信できない状況下でも、情報収集に活用することができます。災害時など、重要な情報源として役立つ可能性があります。

技術的な挑戦

良好な受信状態を得るためのアンテナの工夫や、受信機の調整などラジオの技術や知識を学ぶことができる技術的な面白さがあります。

また、短波は、電離層に反射されて伝搬します。そのため、電離層の状態によって、短波の伝搬距離や品質が変化します。

電離層が良好な状態のとき、普段聞けない放送局の電波を受信できたりするのも、BCLの魅力のひとつでした。

BCLを始めるために必要なもの

  1. 短波ラジオ受信機:市販の短波ラジオ受信機が必要です。初心者向けのモデルから高性能なものまで、幅広い選択肢があります。
  2. アンテナ:室内用アンテナから専用の外部アンテナまで、受信状況を改善するためにさまざまな種類があります。
  3. 受信ガイド:受信可能な放送局や時間帯、周波数の情報を提供するガイドブックやウェブサイトが役立ちます。

注意点と楽しみ方

  • 受信条件:時間帯や天候、地理的な条件によって受信状態は大きく変わります。
  • 法規制:受信に関しては特に法的な制限はありませんが、送信を伴う活動には免許が必要になる場合があります。
  • コミュニティ:BCLを楽しむコミュニティに参加すると、情報交換や技術的なアドバイスを得られます。

短波ラジオを使ったBCLは、世界中の文化や情報に触れられるユニークな趣味です。技術的な側面と文化的な探求を同時に楽しめるため、多くの人に愛されています。興味を持った方は、まずは手軽な短波ラジオから始めてみてはいかがでしょうか

1970年代のBCLブームとその後の展開

短波ラジオに耳を傾ける一人のリスナー

1970年代のBCLブーム

1970年代は、短波ラジオを使ったBCL(放送局受信趣味)が大きなブームとなりました。

この時期、短波放送は世界各国の主要な情報源の一つであり、多くの国が短波を使って自国の文化やニュースを発信していました。

また、技術の進歩により短波ラジオ受信機が家庭に普及し始め、趣味としてのBCLが注目を集めました。

1980年代以降の変化

  • 技術の進化:1980年代以降、ラジオ技術の進歩により受信機の性能が向上し、より多様な放送を受信できるようになりました。
  • インターネットの普及:1990年代に入ると、インターネットの普及に伴い情報収集の手段が多様化しました。これにより、BCLが持つ「遠くの放送を聴く」という特性は、一部の熱心な趣味家に限られるようになりました。
  • 放送局の減少:2000年代に入ると、多くの国際放送局が短波放送からインターネット配信に移行し始めました。これにより、短波放送を利用する放送局の数は減少しました。

現代におけるBCL

  • ニッチな趣味:現代では、BCLはニッチな趣味として存在しています。インターネットやデジタルメディアの普及により情報収集の手段は多様化していますが、短波放送独自の魅力を求める愛好家は依然として存在します。
  • デジタル化の影響:デジタル放送の導入により、受信機や受信技術にも新たな変化が見られます。
  • コミュニティの活動:熱心なBCLコミュニティは、情報交換や技術的な知見を共有する場として活動しており、BCLの魅力を今に伝えています。

BCLは、1970年代のブームから現代に至るまで、テクノロジーの進化とともに変遷を遂げてきました。

今日でも、短波放送を通じて世界を旅するような体験を提供するこの趣味は、特有の魅力を持ち続けています。

日本におけるBCLの普及と雑誌の役割

雑誌がBCL愛好家の主要な情報源であった時代の日本の風景

BCLの普及

日本においてBCL(放送局受信趣味)が普及した背景には、特に1970年代から1980年代にかけての雑誌メディアの影響が大きいとされています。

この時期、日本では短波ラジオの受信機が家庭に広く普及し始め、BCLに関心を持つ人々が増加しました。

雑誌の影響

  1. 情報源としての役割:当時の日本では、短波ラジオに関する情報はインターネットではなく、主に雑誌を通じて得られていました。これらの雑誌は、短波放送のスケジュール、受信機のレビュー、受信技術のヒントなど、BCLに必要な情報を提供していました。
  2. コミュニティ形成の促進:雑誌は読者同士の情報交換の場を提供し、BCLコミュニティの形成と拡大に貢献しました。読者投稿ページやQ&Aコーナーなどを通じて、愛好家たちは経験や知識を共有し合いました。
  3. 趣味の普及と啓蒙:雑誌はBCLを趣味として紹介し、多くの人々にこの趣味の魅力を伝える役割を果たしました。特集記事や専門コラムを通じて、BCLの楽しみ方や技術的なアドバイスが提供されました。
  4. 専門誌の発行:BCLに特化した専門誌が多数発行され、短波放送に興味を持つ人々の情報源となりました。これらの専門誌は、短波放送の最新動向や技術情報を詳細に報じていました。

現代における変化

  • メディアの多様化:インターネットの普及により、情報源は雑誌からウェブサイトやオンラインコミュニティへと多様化しています。しかし、雑誌が果たしたBCL普及の基礎は今も残っています。
  • デジタルメディアの影響:デジタルメディアの普及により、情報の収集や共有の仕方が変化しましたが、雑誌が担っていた教育的役割やコミュニティ形成の重要性は依然として認識されています。

BCLの趣味が日本で普及した過程において、雑誌メディアは中心的な役割を果たしました。

それらは情報の提供、趣味の普及、愛好家コミュニティの形成に大きく貢献し、BCLの基盤を築く重要な要素となりました。

日本におけるBCL関連雑誌

日本でBCL(放送局受信趣味)がブームを迎えた際、ラジオの制作に関連する雑誌だけでなく、他にも様々な雑誌がBCL愛好家たちに情報を提供していました。

これらの雑誌は、短波放送に特化した内容から、一般的なラジオ趣味に関するものまで幅広くありました。

「ラジオの製作」とは、1954年に創刊され、1999年に休刊した日本の月刊誌で、電波新聞社が発行していました。この雑誌は、アマチュア無線、パーソナルコンピュータ、オーディオ、BCL(放送局受信趣味)、エレクトロニクスの総合入門雑誌として知られていました。

1970年代になると、雑誌の内容はエレクトロニクス全般に拡大し、特にBCLブームに合わせて海外短波放送関連の記事を充実させました。

1973年頃からは、この分野の専門家が多数ライターとして連載を持ったり寄稿するなど、豊富な情報を提供していました。

また、同誌はエレクトロニクス趣味のコンピュータ化にも追随し、パソコン関連の記事にも注力していました。1977年にはコンピュータ総合誌『マイコン』が独立し、1981年には別冊付録『マイコンBASICマガジン』を付けました。

しかし、1990年代に入ると、BCLブームが下火になり、主力の電子工作関連も月刊で発行を維持できる記事量と読者の支持を得られなくなりました。

1999年3月の発売を最後に月刊誌としての発行が終了し、その後はムック形式での発行を予定していましたが、同年7月に発行された『ラジオの製作SPECIAL』を最後に事実上の廃刊となりました。

その後、電波新聞社は2008年に『電子工作マガジン』を起こし、一部で「ラジオの製作」の流れを汲む内容を提供しています。また、2019年9月には別冊『BCLマニュアル令和版』を発売し、20年ぶりにBCL関連の書籍に再参入しました。

2020年には、創刊65周年を記念して『ラジオの製作 創刊65周年記念特大号』が発行され、過去の記事や新規の内容を取り入れた特別な号となりました​​​​​

これらの雑誌は、BCLやアマチュア無線の技術的な側面から、放送内容や文化的な側面に至るまで、幅広い情報をカバーしていました。

特に1970年代から1980年代にかけてのブーム期には、これらの雑誌がBCLコミュニティの形成と情報共有の重要な媒体となっていました。現代ではインターネットが主要な情報源となっていますが、これらの雑誌が果たした役割はBCLの歴史において重要なものでした。

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